2011/04/09

統一地方選挙の争点は「原発・エネルギー政策」!

【原発事故が遠くなる東京の日常…】 東京では桜も咲いて気温も上がり、ここ数日は春らしい陽気が続いています。震災直後には、ベランダに薄っすら積もったスギ花粉が福島から飛んできた放射物質ではないかと大騒ぎになったり、水道水に規制値以上のヨウ素が検出されてペットボトルが店頭から一斉に消えたりしたことがだいぶ前のことようにも感じます。スーパーの品揃えも平常時に近くなってきて、テレビや新聞の報道を見なければ、何事もない平和な日々だと思ってしてしまいます…。

そしてはっと気がつけば、もう2日後に統一地方選挙のトップを切って東京都知事選挙の投票日がやってきます。テレビでの震災や原発に関する特別番組は、さすがにだいぶ減ってはきましたが、ニュースの中ではやはりその内容が大半を占めていて、都知事選挙のニュースはほとんど見ないので本当に選挙をやっているのかと疑ってしまうぐらいです。

このことは、多くの有権者が投票所に足を運ばす、投票率が大幅に下がることを予想させます。そして低投票率は、特定の「組織票」を持つ候補者が有利になることを意味します。報道によれば、実質的に自民・公明両党の支援を受ける現職の石原慎太郎氏が優勢で、それを元宮崎県知事の東国原英夫氏、そして都議会民主党が支援する元ワタミ会長の渡辺美樹氏、共産党推薦の小池晃氏と続いています。ただし、まだ3~5割が投票態度を明らかにしていないので、まだまだ情勢は変わる可能性があります。 http://www.asahi.com/politics/update/0403/TKY201104030210.html


【統一選の争点は「原発・エネルギー政策」!】 ちなみに僕は「脱原発」と「自然エネルギーへの戦略的転」を明確に打ち出している小池晃氏に不在者投票してきました。都知事選ですから、お母さんや子ども、高齢者や非正規雇用者(派遣労働者)に優しい社会保障政策も重要だと思うからです。
http://daily.magazine9.jp/plus/2011/04/post-59.html

個人的には、この都知事選挙を皮切りに全国で行われる地方統一選挙は大げさではなく、今回の未曾有の震災による福島原発の事故を受けて、日本の新しい針路を決める歴史的で決定的に重要な選挙だと思っています。 この選挙で、安全性よりコストを優先したことでこれだけ甚大な人的・環境的な汚染と被害を垂れ流している東京電力による福島原発事故が象徴する「いのち(環境)を優先する政治か、それとも財界の利益を優先する政治か」が問われないで、いったいつ有権者は「脱原発=いのち優先」の意思を表明できるというのでしょうか…。

全国の原発を段階的に廃炉にして行く政策を掲げている政治家を僕は選びたいと思います。   その意味でも、今回の重要な争点は「原発・エネルギー政策」だと思います。今回の原発事故で、経済産業省(通産省)や自民党など政府、東京電力などの電力会社、東芝や日立など原発企業、マスコミや東京大学の教授たちがこの40年間近く言い続けてきた「原発がクリーンで安価なエネルギー」だという戯言は、もう今となってはたちの悪い冗談としか思えない「真っ赤な嘘」だったことが最悪の形で証明されてしまいました。そのことを鵜呑みにしてきた訳ではありませんが、まさかここまでの無責任体制でこんなにリスクの高い事業を回していたとは思い至らなかった自分の不明を深く反省しています…。

■「福島・非難すべき沈黙(3月26日仏ル・モンド紙)」 http://www.francemedianews.com/article-70295007.html


【原子力発電について候補者の考えを知ろう!】 ミュージシャンの坂本龍一さん、大貫妙子さんや作家の村上龍さん、映画監督の鎌中ひとみさんたち100人を超える賛同人が「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」を立ち上げました。そして、今度の統一地方選挙の知事・政令市長選候補の方々に質問状を送り、その結果をウェブで発表しています。候補者は詳しく回答していますが、わざと「どっちつかず」に書いてある官僚答弁のような回答もあるし、これまでの経歴を見ればその場しのぎの嘘をついている(あとで政策がコロッと変わる)場合もあると思うので、注意深く候補者の真意を読みとって下さい。 http://energy-policy.net/


【危険で環境を汚染するだけでなく割高な…】 原発は地球を放射能汚染の危機にさらし、先祖伝来の豊かな土地から人々を追い出して、農林漁業を壊滅させ、子孫には高レベル放射性廃棄物の毒物というツケを残すことが私たちの目の前で日々証明されています。原発から排出される「人類が作り出した最強の毒物」といわれているプルトニウムの半減期は2万4千年です。その処理コストや管理コストはいったい誰が払うのでしょうか? 使えなくなった原発を廃炉にするにも膨大なコストがかかります。


いったん事故が発生した場合には今回のような(まだ全部でいくらかかるかわからないほどの)巨額のコストと、管理不能ではないかと思われる非常に高いリスクが生じることを、私たちはいま目の前で計り知れない不安と痛みを伴いながら確認しているのです。残念ですが、原発は経済原則から考えても、段階的に廃炉にするべきだと思います…。 今回の原発事故が、世界に冠たる高品質の保証であった「メイド・イン・ジャパン」という国家ブランドを大きく失墜させたことを含めて、この天文学的な損害が誰のどういう責任で生じたのかを徹底的に究明して、その責任を間違いなく取らせることが必要だと思います。 ■外国人記者が見た「この国のメンタリティ-優しすぎる日本人へ-」 (4月6日「週刊現代」)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2372


【世界の流れは安価で安全な自然エネルギー!】 しかも、国際的なネットワークを持ち、最新の海外状況に通じている環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんによれば、海外では風力や太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電コストが、すでに原発のコストを下回ったことが知られているそうです。そして、欧米では新設の発電施設の60%はもう自然エネルギーになっているといいます。 世界をリードしてきた日本の技術をもってさえ安全性をコントロールできないような中央集権的で巨大な発電施設ではなく、地域分散型の自然エネルギー(スマート・グリッド)が世界のトレンドになっているのです。こんなに地震と津波のリスクの高い国に、あまりにも危険な原発は適していない発電施設だと思いませんか?


■飯田哲也×小林武史 緊急会議「エネルギーの世代交代」 http://www.eco-reso.jp/feature/love_checkenergy/20110407_5007.php


【ドイツでは緑の党の総理大臣が誕生するかも?】 ドイツでは、今回の福島原発の衝撃的な事故にショックを受けた25万人もの普通の人たちが、「脱原発」の意思を示すデモ行進に参加したそうです。そして、3月27日行われた2つのドイツ州議会選で、東日本大震災による福島原発の事故が「原発論争」を呼び覚まして、90年代から一貫して脱原発を訴えてきた「90年連合・緑の党」が大躍進しました。その結果、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が58年間も州政権を担ってきた南西部バーデン・ビュルテンベルク州で、独政治史上初の緑の党出身の州首相が誕生しました!このことから、ドイツは再び脱原発にカジを切る可能性が出てきたようです。  


また、福島原発の事故を受けて、メルケル首相は3月14日、原発の稼働年数の延長計画を3カ月間凍結。15日に1980年以前に運転を開始した原発7基を一時停止しました。それにしても、この歴史的な政治的転換の原因を作った日本の原発は、活断層の上にある浜岡原発をはじめ、これだけ大きな地震が群発していて本当に危険なのに、なぜとにかく一時的にでも止まらないのでしょうか?(3月29日産経ニュース) http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/499706/


ドイツの緑の党は、反原発(反核兵器)のNGOや環境NGOなどが大同団結して政党らしくない政党(Greens:緑の人々)として作られました。それが社民党(SPD)と連立政権を8年間も担って「原発の段階的な廃止」や「自然エネルギー政策」の推進、有機農業の目標20%(日本は0.2%)など「今後の日本が目指すべき環境政策」を打ち出して、社会を持続可能(サスティナブル)な方向に大きく進歩させてきました。緑の党・日本「みどりの未来」 http://www.greens.gr.jp/


【あなたはどんな未来に投票しますか?】 今回の統一地方選挙では、子どもたちの未来を「暗黒の未来」にしない、「いのちとみどり(人の健康と自然環境)」を大事にする「みどりの未来」を創造する議員を選びたいと僕は思います。この統一地方選挙の争点は「いのちを守るみどりの町づくり」ではないかと思います。今後、数十年も続く土壌汚染、広範囲の水質汚染と大気を舞う放射性物質で子どもの生命を脅かす魔の原発事業による補助金に頼るのではなく、地産地消の分散型自然エネルギー産業による雇用の創出と有機農業・畜産・水産・林業、伝統食、地域文化とエコツーリズム等による第六次産業化による町おこしを!


【参考資料】 「3.11 後の原子力・エネルギー政策の方向性-二度と悲劇を繰り返さないための6戦略ー」環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也氏 http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_StrategyNo2.pdf


郡山昌也(こおりやままさや) http://organic.no-blog.jp/ http://twitter.com/#!/MasayaKoriyama -

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