2011/04/08

東京の浄水場でもヨウ素を検出…

とうとう東京の浄水場でも(一歳未満の)幼児には飲ませない方がいい(規制値の2倍)というレベル(210Bq:ベクレル)の放射性ヨウ素(131)が検出されてしまいましたね…。(朝日新聞)http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY201103230282.html また、今日までに福島県産のホウレン草や牛乳だけでなく茨城、栃木、群馬の各県産の多くの農産物が出荷停止になってしまい、摂取制限もかけられてしまいました…。野菜の規制値は2000ベクレル/kgです。(読売新聞) http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20110323-567-OYT1T00096.html NHKニュース21では、福島第一号原発から40kmの飯館村の土壌を検査した結果、16万3000ベクレルのセシウムが検出されたと報じました。通常の1600倍という高濃度の汚染です。セシウムの半減期は30年なので、100年経っても消えないそうです。作物に1%しか吸収しなくても1万6000ベクレルの残留で出荷できません。というより、非常に残念ながらその土地ではもう2度と農業はできません…。ヨウ素も117万ベクレル検出されました。これはチェルノブイリ原発周辺の汚染度に匹敵するそうです(朝日新聞:3月24日)。この区域にいらっしゃる方々の健康状態もとても心配です。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110323/t10014858671000.html 福島第1原発の排水口付近では、21日に採取した海水から、法令が定める濃度限度の126.7倍の放射性ヨウ素を検出しました。海水が汚染されたことで、生態濃縮(食物連鎖)による海産物の汚染に繋がる可能性があります。ニュースでは、せっかく手塩にかけて育てたホウレン草などの野菜を畑で潰さなくてはならない農家の方のコメントや「自分たちはいつも通りに育てていたのに…」と福島の酪農家の方が牛乳の原乳を捨てているシーンなどが報道されていました。このようなニュースを聞いていると、消費者としてはもちろんすごく不安ですが、農林水産業を生業とされている現地の農家・畜産農家・漁師さんたちの生活への不安もとても大きいのではないかと思います。 【飲料水の基準値は世界的には10ベクレル?】 話が横にそれてしまいましたが、今夜のNHKのニュースでは乳児が水道水を飲むことに関しても、専門家が(規制値の2倍強の210ベクレル程度では)「ただちに健康には影響ない」と繰り返していました。日本では、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する規制値は「100ベクレル(Bq/L)」となっているそうです。 厚労省によると、世界的には飲料水の放射性物質の基準値はWHOの飲料水の品質ガイドラインで「10ベクレル」だそうです。食品衛生法には放射性物質の残留値の基準がなかったので、原子力安全委員会が1980年につくった防災指針に基づいて厚労省が3月17日に非常時の暫定基準「300ベクレル」を制定しました。(厚生労働省医薬食品局)http://bit.ly/foBuwU そして乳幼児向けの基準が「100ベクレル」として定められたそうです。つまり平時にはWHOの基準値「10ベクレル」としていたものを「非常時」だからと10倍に引き上げてあるということです。WHOの基準値については、以下の資料をご参照下さい。(WHO飲料水水質ガイドライン/一覧表:P203-P204)「ヨウ素 I-131:10ベクレル/セシウムCs-137:10ベクレル」 http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf その意味では、粉ミルクを作るのに水道水を使わなければならないお母さんの心配は大変なものだろうと思います。東京都では、乳幼児のいる家庭には明日にもペットボトルの水を配るそうです。これは迅速ないい対応だと思いますが、この状況が長く続けばどうなるのでしょうか…。 また大人としても、この規制値についてはどう考えればいいのか悩みます。非常時の基準の300ベクレル内ではあるけれども、WHOの基準値の20倍以上ということです。とはいえ、料理やご飯を炊くにも非常時用のインスタントラーメンを作るのにさえ水を使わずにはできません。他に手がないのでとりあえずは料理には水道水を使うしかありませんが、いつまでこの状況が続くのか知りたいと思っています。ちなみにヨウ素の半減期は8日間のようです(「放射能Q&A」長崎大学医学部)。 http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/interna_heal_j/a3.html でも被災地では、まだとても多くの方々が大変に厳しい、不自由な避難所生活を強いられていると思います。福島では、東京(首都圏)のための電気を危険な福島原発で作った結果、今回の原発事故で被災されて今も本当に大変な状況にあると思います。そのことを考えると、安全な東京にいる自分がこれぐらいで騒いではいけないとも感じますが…。 【放射性物質に関する情報など】 以下は、僕が参考にしている放射性物質に関する情報元です。皆さんもすでに情報をお持ちだとは思いますが、少しでも何かの参考になればと思いご紹介します。もちろん、あくまで参考情報ですので真偽についてのご判断はご自身でお願いします。 ■「放射能への対処法」(鎌中ひとみ監督推薦) http://homepage3.nifty.com/ksueda/youso.html これは、チェルノブイリ原発事故(1986年)の時から活動を続けている団体の「原発110番」というサイトからです。「WHOは放射性ヨウ素を10Bq/Kg(L)を安全基準にしているということに注目。日本の値は10倍になってしまいます(一覧表の中段)。とは鎌中さんのコメント 」 ■「放射線による内部被ばくについて」(津田敏秀・岡山大教授) http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1310 これは科学者たちが、今回の原発事故に関する情報をわかり易く紹介するために立ち上げたサイト(サイエンス・メディア・センター)です。特に、この間の新聞やテレビで「レントゲンによる検査での被曝量と比較して安全だ」という話をしていますが、そのことの可否についても論じています。 ■「放射能分野の基礎知識」(放射線医学総合研究所) http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3 原子力発電所に関して定められた一般の方の一年間の線量限度は1ミリシーベルト/年です。自然界から被ばくしている線量は、1年間で2.4ミリシーベルトです。世界の高線量地域では10ミリシーベルトという場所もあります。 ■「レントゲンと原発放射線は違います」(環境市民) http://www.kankyoshimin.org/modules/blog/index.php?content_id=82 これは京都の環境市民団体のサイトです。「レントゲンやCTスキャンは、機器の整った室内で行われるのに対し、今回の事故で放出された放射性物質は空気中を舞っているわけですから、服や肌に付着する外部被曝(表面汚染)と口、鼻、傷口から吸収する内部被曝がおきます。」 ■原子力資料情報室(CNIC) http://www.cnic.jp/ 原子力技術者であった高木仁三郎氏が代表を務めたNPOで脱原発を実現する市民の情報センター。元代表の高木仁三郎さんは、1997年にもうひとつノーベル賞として有名な「ライトライブリフッド賞」を受賞。市民科学者という立場を貫かれた方でした。 【まだ楽観はできないが…】 最後に、先日の「福島原発の現状って本当はどうなの?」という日記で、東芝の元原子炉格納容器設計者、後藤政志さんの講演内容を一部ご紹介しました。その中では、「最悪のシナリオ(チェルノブイリ級の爆発事故)の可能性もない訳ではない」という意見をご紹介しました。(その後も、後藤さんは海外のメディア(BBC)を含めて各局の番組にかなり出演をさているようです) http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691948451&owner_id=13214354 つきましては、信頼している元原子力技術者で、現在は自然エネルギー政策の第一人者である「環境エネルギー政策研究所」代表の飯田哲也さんが、3月20日(日)現時点で福島原発の状況について分析を発表されましたのでご紹介します。結論は、もちろんまだまだ余談を許さない状態ながら、本当に最悪のケースは避けられる可能性が見えてきたという内容です。ご参考まで。http://www.isep.or.jp/ 『「最悪シナリオ」はどこまで最悪か-楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み-』http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf 今朝の地震もけっこう揺れましたよね。東京でもまだまだ非常事態が続きますが、子供たちのためにも「焦らず・慌てず・諦めず」の精神で乗り切りたいですね。 Masayan(こおりやままさや) http://twitter.com/MasayaKoriyama 追伸:この記事は拙「オーガニックブログ」にもあげました。 http://organic.no-blog.jp/weblog/2011/03/post_cd08.html

0 件のコメント:

コメントを投稿